全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が4月28日に発表した2020年3月期通期の連結決算は、純利益が前期(19年3月期)比75.0%減の276億5500万円と大幅な減益となった。2021年3月期通期の見通しは、中国から感染が拡大した新型コロナウイルスの影響が見通せないとして、公表を見送った。2021年3月末時点の旅客数は、前年度比で5-7割を見込む。
20年3月期の純利益が75.0%減となったANAホールディングス=20年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
2019年3月期通期の売上高は4.1%減の1兆9742億1600万円、営業利益が63.2%減の608億600万円、経常利益が62.1%減の593億5800万円と大幅な減収減益。このうち2020年1-3月期(第4四半期)に限ると、売上高は前年同期比20.0%減の3920億5000万円、営業損益は588億5000万円の赤字、経常損益は631億7700万円の赤字、純損益は587億9100万円の赤字で、四半期の営業益と経常益、最終益が赤字に転落するのは2018年1-3月期以来となり、1-3月期では過去最悪の数字となった。
通期の営業費用は1.1%増の1兆9134億円。営業利益率は4.9ポイント低下し3.1%となった。航空事業の営業費用のうち、燃油費・燃料税は5.8%減の3144億円、整備部品・外注費は13.0%増の1773億円、人件費は3.0%減の2016億円だった。
3月末時点の流動資金は2386億円。28日にオンラインで決算発表したANAHDの福澤一郎常務執行役員は資金繰りについて「問題ない」と述べ、「1000億円の借入を行っており、コミットメントライン(融資枠)はこれまでの1500億円に3500億円追加して5000億円。日本政策投資銀行(DBJ)とは3500億円の実行に向けて協議しており、計9500億円の手当がまもなくつく」と説明した。
—記事の概要—
・国際線
・国内線
・貨物
・LCC
・為替と燃油、配当
・21年3月期見通し
国際線
国際線の旅客収入は5.8%減の6139億円。旅客数は6.7%減の941万6000人と1000万人を割り込んだ。座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は4.4%増の688億8500万席キロ、有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)は1.1%減の502億1900万人キロ、ロードファクター(座席利用率、L/F)は4.1ポイント低下し72.9%、旅客単価は1.0%増の6万5196円となった。
このうち、1-3月期の旅客収入は31.7%減の1058億円。旅客数は31.3%減の168万2000人、L/Fは16.2ポイント低下し60.1%、旅客単価は0.5%減の6万2901円だった。
福澤氏は、「WHO(世界保健機関)がパンデミック宣言した3月11日以降の渡航制限で需要が減少した。中国、アジア、欧米と拡大し、2月は1割減、3月は4割減になった」と述べた。
旅客収入の方面別構成比は、アジア・オセアニアが31.0%(前年度比0.1ポイント低下)でもっとも高く、北米30.2%(0.1ポイント上昇)、欧州19.6%(0.4ポイント上昇)、中国12.5%(2.2ポイント低下)、ハワイ6.8%(1.8ポイント上昇)と続いた。
国内線
国内線の旅客収入は2.4%減の6799億円。旅客数は3.2%減の4291万6000人、ASKは0.1%増の585億5200万席キロ、RPKは3.0%減の395億200万人キロ、L/Fは2.1ポイント低下し67.5%、旅客単価は0.8%増の1万5844円となった。
このうち、1-3月期の旅客収入は21.8%減の1264億円。旅客数は22.5%減の819万1000人、L/Fは12.1ポイント低下し55.5%、旅客単価は0.9%増の1万5437円だった。
福澤氏は、「3月は1割減で、1-3月の四半期単独では前年割れ。売上高の減少規模が大きかった」と述べた。
貨物
国際線の貨物収入は17.9%減の1026億円。輸送重量は5.2%減の86万6000トンで、重量利用率は3.2ポイント低下し57.4%、重量単価は13.4%減の1キロ118円だった。
このうち、1-3月期は旅客便の大量運航停止で貨物スペースがひっ迫し、マスクなど医療物資の輸送需要が高まったことから、貨物収入は6.2%減の245億円となった。輸送重量は2.4%減の19万4000トン、重量利用率は0.4ポイント低下の55.5%、重量単価は3.9%減の1キロ126円と、通期の値と比べて改善している。
国内線の貨物収入は7.0%減の255億円。輸送重量は5.2%減の37万3000トンで、重量利用率は1.0ポイント低下し22.7%、重量単価は1.9%減の1キロ68円だった。
福澤氏は、「3月以降単価が前年上回っており、旅客減を補完できればいいと思う。アフターコロナでは、船便では間に合わないので航空便でという需要が出てくると思う」と期待感を示した。
LCC
傘下のLCCは、2017年4月から連結子会社化したピーチ・アビエーション(APJ/MM)と100%子会社のバニラエア(VNL/JW)の2社が、2019年11月1日に統合を完了。2社合計で売上高は12.5%減の819億円、旅客数は10.6%減の728万8000人、ASKは8.1%減の110億7600万座席キロ、RPKは11.5%減の92億200万人キロ、L/Fは3.2ポイント低下し83.1%、旅客単価は2.1%減の1万1244円だった。
このうち、1-3月期の売上高は27.7%減の176億円。旅客数は26.4%減の151万1000人、L/Fは11.6ポイント低下し75.3%、旅客単価は1.8%減の1万1657円だった。
為替と燃油、配当
為替と燃油市況は、為替レートが1ドル108.7円(19年3月期より2.2円円高)、燃油費はドバイ原油が1バレル60.3米ドル(13.2%下落)、シンガポールケロシンが1バレル72.9米ドル(13.4%下落)となった。
有利子負債残高は8428億円(19年3月期末比542億円増)から流動資産を差し引いた純有利子負債残高は、2019年3月期末より1092億円増加し6042億円。自己資本比率は41.4%(19年3月期末比0.5ポイント上昇)となった。
配当は無配になった。
21年3月期見通し
2021年3月期通期の連結業績見通しは、公表を見送った。配当現時点では未定としている。
4月28日時点で、国際線は計画の約9割、国内線の約7割を運休しており、人件費の抑制や新造機の受領を後ろ倒しするなどの対策を講じていく。
福澤氏は「2020年度末で5割から7割程度の回復にとどまるのでは」と需要の見通しを語った。
関連リンク
全日本空輸
ピーチ・アビエーション
ANAの動向
・ANA、新卒採用抑制も 休業35社4万2千人に(20年4月28日)
・ANA、国内線64%減便 羽田-熊本など運休68路線、5月末まで(20年4月28日)
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・GWの予約数、国際線97%減 国内線も激減、各社減便相次ぐ(20年4月22日)
・ANA、国際50路線5月末まで運休 ストックホルムなど就航延期(20年4月22日)
・ANA、787の客席を貨物スペースに マスク入り段ボール運ぶ(20年4月22日)
・新千歳にもANA・JAL旅客機並ぶ 国際線9割運休(20年4月19日)
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・ANA、半数弱の2万人に休業拡大 間接部門や地上係員など、今後グループ30社に(20年4月16日)
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ANAHDの決算
・ANA、19年4-12月期の営業益23.6%減 通期見通しは据え置き「影響精査できていない」(20年1月31日)
・ANA、19年4-9月期の純利益23%減 通期見通しは下方修正(19年10月30日)
・ANA、19年4-6月期営業益19.4%減 採用や整備費用かさむ(19年7月30日)
・ANAの19年3月期、売上高2兆円突破 営業益0.3%増(19年4月27日)
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