給付金事業で電通が想定する利益の多くは、外注からもたらされる見通しだ。外注を巡っては、電通を中心に業務が発注された「その先」の実態が見えにくくなる問題もある。仕事を受けるグループ企業や取引先に無駄が発生していないかという国のチェックが効かない懸念だ。(渥美龍太)
電通の利益の源泉となる一般管理費が外注費によって膨らむのは、経済産業省と環境省のルールを比較すると明らかだ。外注費の10%を管理費に算入することを認めない環境省の基準で計算すると、管理費は68億円から4億円弱となり、利益も減ってしまう。子会社など身内企業に外注を繰り返す電通の「ビジネスモデル」は成り立ちにくい。
元・会計検査院局長の有川博・日本大客員教授は「国が実態に即した支払いができる省庁横断的なガイドラインが必要だ」と言う。
国の事業に詳しい公認会計士は「外注先はチェックが効きにくく、ブラックボックス化しやすい」と外注を巡る問題を指摘する。また、電通の外注先は全て子会社で、価格を下げる競争原理が働きにくい。
持続化給付金事業は電通グループ5社の先も外注が繰り返され、関わる主要事業者は判明しているだけで63。無駄のチェックを国が行うのは容易ではない。予算を査定する財務省幹部は「外注先の状況は全く分からない」と漏らす。
「現場の仕事のほとんどを子会社に投げて利益を抜く。やりすぎでは」。立憲民主党の川内博史衆院議員は24日の衆院経済産業委員会で、外注費の扱いを巡るルールの変更を梶山弘志経産相に要請。梶山氏は25日に始まる有識者会議で「これも(検討の)対象にしたい」と答えた。
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