羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデング（9706）の2020年3月期通期連結決算は、純利益が前期（19年3月期）比84.8％減の50億1200万円だった。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染拡大による国内・国際線の大幅な減便・運休が影響したほか、3月に開業した第2ターミナル国際線施設の一時費用が減益要因になった。2021年3月期の通期業績見通しは、新型コロナウイルスの影響を算出することが困難なため、現時点での公表を見送った。
新型コロナウイルスの影響で日本空港ビルの20年3月期純利益は84.8％減＝20年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
2020年3月期の売上高は7.4％減の1742億6900万円、営業利益は93.2％減の4億7100万円、経常利益は83.4％減の12億5000万円と減収減益。賃料が増収となったものの、新型コロナウイルスの影響で国内線と国際線ともに旅客数が減少したため、物販や飲食業が減収となった。
営業利益は、直営店舗の営業時間短縮や一時休業、空港内の無料連絡バスの運行本数削減などのコスト削減策を実施したが、3月29日に供用を開始した第2ターミナル国際線施設の一時費用の発生などで減益になった。
セグメント別では、家賃収入など施設管理運営業は営業収益が886億4000万円（1.2％増)、営業利益が69億3200万円（51.7％減）。家賃収入は、昨年度の「THE HANEDA HOUSE」開業に加え、2019年10月の第2ターミナル北側の事務室増床などで航空会社への貸室が増えたことで4.6％増収となったものの、新型コロナウイルスの影響で国内線と国際線の旅客数が減少した影響で旅客取扱施設利用料収入が5.7％減少した。営業利益は、2019年12月に供用開始した国際線ターミナル（現第3ターミナル）増築部の減価償却費や運用経費の増加、第2ターミナル国際線施設の供用開始に伴う不動産取得税などの一時費用の発生などが減益につながった。
物品販売業は、営業収益が1492億7200万円（13.7％減）、営業利益は108億2300万円（31.3％減）。2月以降は新型コロナウイルスの影響で中国人客が減少し、免税店などをリニューアルしたものの前年を割り込んだ。営業利益は、成田空港の免税店舗と空港型市中免税店の店舗リニューアル、羽田空港第2ターミナルの免税店など新規オープンに伴う一時費用の増加などが減益要因になった。
飲食業は、営業収益は215億6100万円（4.7％減）、営業利益は4億5100万円（48.7％減）。第2ターミナル国際化工事による店舗閉鎖の影響に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う旅客数減が減収減益の要因になった。
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