富士通の時田隆仁社長は、2019年6月に社長に就任して以降、「IT企業」から「DX(デジタルトランスフォーメーション)企業」への転換を掲げている。自らが、CDXO(Chief Digital Transformation Officer)に就任。富士通の成長領域をDXビジネスに定め、2020年1月には、DXの新会社を設立するとともに、同社が取り組むDX企業としての具体的なプランを発表する考えを示す。
そして2022年を目標に、これまでの歴代の経営トップが達成しえなかった営業利益率10%に挑むことになる。「チャレンジではあるが、10%はできる」と宣言する富士通の時田社長に、これまでの半年間の取り組みを振り返ってもらうとともに、2020年の方向性について聞いた。
“違和感”をひとつひとつ変えていきたい
――2019年6月の社長就任以来の約半年間は、どんなことに取り組んできましたか。
ここ数年の富士通は、サービスオリエンテッドカンパニーを目指し、それに向けて形を変える取り組みを加速してきました。そして、これからは、質をもっと変える必要があり、そのためには、モノの考え方から、すべて変えていかなくてはならないと強く思っています。
私は社長に就任する直前までグローバルデリバリーグループを担当し、2017年4月から、約2年間に渡って英国ロンドンを拠点として仕事をしました。このときに、海外の立場から日本の富士通を見るという機会を得たわけですが、本社に対してひとつの「違和感」がありました。
言い換えれば、その違和感を持ちながら、2019年6月に富士通の社長に就任したといえます。違和感として感じたものを、ひとつひとつ変えていきたい。それが今後の富士通のあるべき姿に向かうことに合致していると、自分のなかでは腹落ちしています。それを具体的な形にしていくための土台づくりや準備に取り組んできた半年間だったといえます。
例えば、いままでのやり方や社内の意識のなかには、極めてサイロ的な行動やマインドセットが少なからずありました。ここを変えていかなくてはなりません。ダイバーシティ&インクルージョンの考え方を導入したり、オープンなディスカッションができる環境づくりに取り組んできたのはそのためです。その一環として、ドレスコードフリーの導入にも取り組んだわけですが、それだけが独り歩きをして、「時田はネクタイが嫌いだ」という話になってしまい(笑)。
ただ、こうした取り組みは、社内を変えていくためには必要なことだと考えています。ちなみに、私はネクタイは嫌いではなく、むしろ好きな方ですよ(笑)。
――3000万~4000万円の報酬を支払う高度人材処遇制度も注目を集めました。
新たなことをやろうとするときに、人事制度まで変えなければうまくいかないことはよくあります。富士通の知恵を結晶するための仕組みのひとつとして、人事制度の改革に乗り出していきます。
そのひとつが高度人材処遇制度となり、そのなかで、これまでの富士通にはないケイパビリティを富士通の外から求めていくことになります。高度な技術を持った人だけでなく、業種、業務の経験者など、広い知見を求めていきます。
ただ誤解のないように言っておきますが、これは高額報酬制度をあおるものではありませんし、「IT素人」の採用を拡大するといった文脈で語られるものではありません。一部にはそうした報道もありましたが、それに対しては私自らが厳重に抗議しました。
実は、サイバーセキュリティにかかわる人材などには、これまでの社内制度のなかでもオプションを与えるといったことをして、専門性の高い人を処遇してきました。しかし、その制度がうまく使えていなかったという反省があります。その制度をあらためて見直して、社内の人材に対しても、市場価値に沿う形に変えていくことになります。
――半年間、社内に向けてはどんなことを言ってきましたか。
いま、社内で言っているのは、「富士通はなんのために存在しているのかということをあらためて自らに問い直してほしい」ということです。富士通は、もともと「お客さまのため」ということを強く意識した会社であり、社員もそれしっかりと認識し、その文化が浸透しています。それをさらに一歩進め、お客さまの先を超えて発想する会社になるべきだと考えています。
富士通はテクノロジーの会社であり、テクノロジーをベースにしたイノベーションを、社会に起こすべく貢献していく会社です。それをあらためて肝に銘じてほしいと言っています。
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January 06, 2020 at 04:00AM
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富士通・時田隆仁社長が語る、“営業利益率10%必達を宣言できる理由” - クラウド Watch
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