夏から秋の花火大会が新型コロナウイルスで軒並み中止になったことで、観光需要を含む経済損失額が5000億円を超えるとの試算を日本経済研究所がまとめた。芸術的な評価が高い日本の花火を担う零細製造業の経営環境は悪化しており、伝統の継承が危ぶまれる。業界は新しい花火大会の在り方も模索するが、将来像は煙に包まれている。
試算は、新潟県の「長岡まつり大花火大会」、茨城県の「土浦全国花火競技大会」、秋田県の「全国花火競技大会(通称・大曲の花火)」など、夏を中心に開催予定だった主要な花火大会約300件を調査対象とした。
花火製造業の直接の損失に加え、観客の飲食費や宿泊費といった観光需要が失われた分も含めると、中止に伴う経済損失は合計で約5300億円に上ると試算した。
新潟県の製造業者は、参加を予定していた大会約50件がほぼ中止になった。関係者は「契約を見込んでたくさん作ってきたが、出番がなくなり収入はゼロになった。火薬庫に保管できる花火の量も限られているので、4月から休業して生産をストップしている」と苦境を打ち明ける。
コロナ禍での大会運営は試行錯誤が続く。NPO法人などでつくる「日本の花火を愛する会」はクラウドファンディングで約1600万円の支援を受け、8月22日夜、各地で一斉に花火を打ち上げるプロジェクトを企画。「3密」回避のため打ち上げ場所や時間を非公表とし、全国60カ所以上で大輪を咲かせた。
ただ、無観客や動画配信が従来の花火大会を代替することは難しい。日本経済研究所の池原沙都実研究員は「一般的に小規模な花火大会ほど警備などの費用がかからず、製造業者の手取りは増える。コロナ収束後は規模を縮小しつつ、地域や時期を分散して開催を探るべきだ」と話している。
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August 31, 2020 at 03:00AM
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花火大会の中止で損失5000億円超 業界苦境、継承懸念も - SankeiBiz
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