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Sunday, March 22, 2020

新型コロナが追い風に。出前館が「営業利益赤字」でも強気なワケ - ニコニコニュース

 新型コロナウイルスの流行に伴って外出自粛・感染対策強化の動きが強まり、国内外問わずに外食需要減少への危機感が高まっています。その一方で、休日・平日ともに自宅で過ごす時間を増やす動きが加速し、出前サービスへの期待・需要が高まっています。

出前館
※画像は「出前館」公式サイトより
ブラック企業アラート(@blackc_alert)」が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説する本連載。今回はピザ・すし・カレー・弁当・中華・ファーストフードなど多数のジャンルから店舗横断の出前サービスを提供する「出前館」(運営:株式会社出前館)を取り上げます。

学童保育に食事を無償提供

 2020年2月の出前館の経営指標は、すべての指標で昨年同月比プラスを達成。オーダー数273万件(前年同月比118%)、加盟店数2万1450店舗(同115%)、アクティブユーザー320万人(同113%)と、新型コロナウイルスによるニーズの高まりを確認できます。

 さらに、出前館はコロナウイルス対策の具体例を記したプレスリリースを2月下旬に出しています。

 3月頭には小・中・高校の休校措置を受けて、グループ会社の日本フードデリバリーと連携して、児童養護施設・子ども食堂・学童保育施設に食事の無償提供を実施したりと、本業を活かした適切な対応を継続しています。

 以降、出前館の強み・今後の成長性について、公開情報から読み解いていきます。

業績:「戦略的投資」で直近は営業赤字

売上高
図:売上高・営業利益額・利益率推移(業績ハイライトより引用)
 まず直近の売上高・営業利益を確認していきます。売上高は直近の会計年度(2019年8月期)では66億6600万円となっており、順調に伸びています。

 しかし、営業利益は3900万円の赤字です。決算説明資料内では「(要因は)戦略的コスト増」と表現しており、「シェアリングデリバリー®」の拡大のために投資を行った結果としています。

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シェアリングデリバリー®の拡大による店舗の拡充、アプリ及びブラウザリニューアルによるUXの改善、積極的な販促活動等により、オーダー数が増加したことによる増収
シェアリングデリバリー®の直営拠点の展開による配達代行手数料の増加
・上述の施策の推進のため、期初より大幅な減益を見込んでおり、直営拠点の拡大及びマーケティング等への先行投資によるコスト増加による減益

2019年8月期決算説明資料p.2より引用)
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「シェアリングデリバリー®」とは?

 この「シェアリングデリバリー®」とは、2017年から開始された「出前館独自の出前システム」のことです。

 本来、各店舗で独自に出前の仕組みを構築するには、「注文を取る」「配達をする」「代金を回収する」といった仕組みを考案し、業務フローとして組み立てなくてはなりません。当然ながら、これには相応の資金や労力が必要です。

 しかし、出前館はこれらの仕組みをすでに備えているので、店舗側は成功報酬を支払うだけで出前ができるようになるのです。出前館のプレスリリースでは、概念図で説明されています。

 これにより、規模の都合で出前を行いにくかった店舗も「シェアリングデリバリー®」の仕組みを活用することで出前を実施できるようになり、顧客も対応店舗の種類が増えることで出前館サービスをさらに活用することになります。また、出前の担い手も新聞配達員を活用するなど、上手にクオリティを担保した仕組みになっています。

 これは出前館、店舗側、ユーザーの「三方よし」の仕組みと言ってよいのではないでしょうか。

「出前館事業」と「通信販売事業」がメイン

売上高
図:セグメント別売上推移(FY2012-2019決算短信の数値準拠・筆者作成)
 続いて、セグメント別売り上げ推移を確認していきましょう。連結データがある2012年会計年度以降の数値を利用して作成しました。

 出前館の事業は「出前館事業(オーダー手数料/基本運営費/広告収入/システム受託開発/その他の5セグメント)」と「通信販売事業」に大別されます。通信販売事業は、子会社「薩摩恵比寿堂」が営む、鹿児島の焼酎を中心に扱う飲食店向け酒卸売事業のことを指しています。

 出前館事業のうち「オーダー手数料」と「その他」の伸びが企業成長の重要な要素であったことがうかがえます。この「その他」については、決算短信・有価証券報告書ともに特段の説明がないため、正確なところは外部からはわからない状況です。

「インキュベーションキッチン」とは?

 公式サイトには派生事業「インキュベーションキッチン」についての説明があるので、今回はこちらを深掘りしたいと思います。

 この「インキュベーションキッチン」は2018年3月から開始されたもので、法人・個人問わず「フードデリバリー」主体の飲食店起業予定者を対象に、出前館の「シェアリングデリバリー」の仕組みを活用して、低コストで、起業トライアルができる仕組みです。公開されている具体例は下記2件があります。

・黒毛和牛焼肉店「うしくろ」2018年6月から開始)
・シェイク専門店「LENN CAFE」2019年8月から開始)

 実例は限定的ですが、店舗側はコストを抑えて出前の仕組みを導入でき、出前館は対象店舗を増やせる。双方にメリットが明確な試みなので、今後の推移に目が離せません。

現場の声:トップダウン型。会社は適度な規模

 さて、利用者としては魅力的な点が多い出前館ですが、働く側としてはどうでしょうか。口コミサイトを確認していきましょう。

 各種口コミサイトは転職支援事業をビジネスにしており、各企業がクライアントにもなっている関係上、著しい悪評は公開されないようになっています。その制約を踏まえて、現場の声を確認していきます。

【良い点】
・残業は少なめ(26時間/月)
・現社長(中村利江氏)が女性のため、女性の働きやすさに配慮されている
・それぞれの社員の顔を認識しやすい規模

【気になる点】
・給与は上がりにくい(メンバーレベルでは年収350万~500万円)
・社長の権力が強く、組織改編が頻繁
体育会系の雰囲気が残っている面もある

 会社の規模は大きすぎず小さすぎず、一人ひとりの顔が認識できる程度です。残業時間がやや少ない点も好印象です。

 出前館の現職の代表取締役社長・中村利江氏は、2001年7月から経営に参画し、2002年に創業者の花蜜伸行氏から代表取締役社長の座を引き継ぎました。それ以降、現在の出前館を作り上げたといっても差し支えない人物です。

 ただし、その実力の裏返しなのか「社長の権限が強く、非常に強い社風なので、頻繁な組織改編や異動も起きやすい」という内容の意見が複数ありました。

 これを前向きに楽しめる人であれば問題ありませんが、腰を据えて働きたい人にとっては気が休まらない可能性が高いです。

デリバリースタッフの労働環境は?

デリバリー

 なお、デリバリー業務を担うスタッフの労働環境についても触れる必要があるでしょう。デリバリースタッフについては、大きく2つの系統に分かれています。

アルバイト契約
朝日新聞の販売店(ASAスタッフ2020年6月に終了)

 前者のアルバイト契約については、時給制となっており、最低収入が担保されている勤務形態です。成功報酬制かつ、業務委託契約となるUberEatsの配達員と比べると、安心して働きやすいスタイルとなっており、おおむね評判は良いようです。

出前館「ホワイト/ブラック度」判定

出前館:★★★★☆

 数年かけて着実に実力を蓄えてきた企業です。直近の新型コロナウイルスを巡る騒動の中にあって、ポジティブニュースを多く提供できているのも、その着実な対応が花開いた結果であると考えられます。

 企業としては、今後の継続的な成長に期待でき、会社規模もまだそこまで大きくなく、面白い時期であると言えます。残業時間は比較的少なく、女性の働きやすさにも一定の配慮がされています。また、配達スタッフの労働環境にも配慮されている点も評価できます。

 そのため、トップダウン型に嫌悪感がない場合はおすすめです。

TEXTブラック企業アラート(@blackc_alert)>

【ブラック企業アラート】

ブラック企業を生き抜いた歴戦のプロダクトマネージャーが、公開情報からホワイトorブラックを判定し、率直な理由とともにお伝えします。twitter:@blackc_alert、note:ブラック企業アラート
※画像は「出前館」公式サイトより

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March 22, 2020 at 06:48AM
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