今や「生活のインフラ」と化したといっても過言ではない100円ショップ(百均)。その中でも特に異彩を放つのがセリアだ。百均らしからぬデザイン性を武器に、「安くておしゃれ」と人気を拡大している。2019年に発売した、オタクの心情を表現したステッカーがSNSを中心に話題となるなど、最近はオタク領域にも進出しようとしている。
また、競合する各社と比較し、セリアは売上高営業利益率が飛びぬけて高い。大創産業に次ぎ売り上げ規模が業界2位のセリアはどのようにして人気を博し、高い利益率を確保しているのか。同社の取締役でもある、田中正弘商品部長に話を聞いた。
100円ショップの成り立ち
百均は多いときで数十、数百の事業者がいたというが、今はダイソー、セリア、キャンドゥ、ワッツの大手4社が中心となっている。田中氏によると、100円ショップのルーツは「催事販売」にある。スーパーの軒先などで、100円で商品を販売していたのが始まりだ。
その後、各地を移動しながら催事販売を繰り返すスタイルから、固定店舗の出店へと百均のスタイルが変わっていく。セリアは競合するチェーンから数年遅れで固定店舗を出店し始めたというが、今や全国に1500店舗超を展開するほどの人気ぶりだ。「デフレの影響もあり、百均の人気が拡大していった。また、あれが欲しい、これが欲しい、というお客さまの声で扱う商品もどんどんと増えていった」と田中氏は振り返る。
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セリアの「強み」とは
セリアといえば、100円なのに100円に見えない「高見え」する商品をそろえるとともに、トータルコーディネートされたおしゃれな空間を武器に支持を拡大しているイメージが強い。とはいえ、単に安さを追って薄利多売し、むやみやたらとおしゃれな空間をつくっているのではない。
薄利多売ではない証拠として、冒頭でも述べたように、セリアの利益率は競合と比較してとても高い。ダイソーを運営する大創産業は非公表だが、業界3位のキャンドゥは19年11月期決算での売上高営業利益率は「1.7%」。業界4位のワッツは19年8月期決算において、同「1.4%」。一方、セリアは同「9.8%」。競合する百均と比較しても高い数値だが、「小売業」という産業の中で見てもこの数値は“優良”だといえる。経済産業省が1月に発表した「2019年企業活動基本調査速報−2018年度実績−」によると、小売業全体の売上高営業利益率は「2.6%」。単価が100円と安価な商品で、セリアは高利益率をどう維持しているのだろうか。その裏側には、賢い経営戦略が隠れている。
まず、セリアでは販売商品の約9割をメーカーと共同開発している。「わざわざ作ってから売り込むのはメーカーさんにとって非効率。また、実際に生産する前に話を持ってきていただければ、ある程度のクオリティーコントロールもこちらでできる」と田中氏は話す。また、店舗での販売データなどを提供することで、メーカー側が過剰に生産し、在庫を抱えてしまうコストも事前に解消しているという。その結果、高品質な商品を安価に開発できている。
在庫管理には業界内で先んじてデータを駆使している。競合のキャンドゥは06年、ワッツは15年にPOSレジを導入したのに対しセリアでは04年に「リアルタイムPOSシステム」を導入。その後も発注支援システムを構築するなど、これまで現場頼みだった発注や在庫管理などにテコ入れを行った。これにより、売れる商品を重点的に陳列できるようになった。また、接客や品出しといった店舗業務に従業員が注力できるようにもなった。さらに、出勤しているのに暇な人が出ないよう「シフト管理」にもデータを活用し、販売管理費をコントロールしている。
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1粒で二度おいしい食品“不売”戦略
セリアでは、多くの店舗で飲料など食品類を販売していない。「食品類は単価が高く、利益率が低い。製菓材料などは販売していることもあるが、基本的には(食品は)ない。これで仕入れ原価が大幅に下がる」と田中氏は話す。
また、食品を販売しないことは利益率以外にもよい効果をもたらしている。それが出店戦略だ。かつては路面店が多かっだが、百均店の増加により集客に陰りが出てきた。そこで、近年は集客を見込みやすい商業施設内での出店も増えている。
実際、お客の要望も多いことから商業施設やデベロッパー側もオープン時などに百均の誘致を考えるところは多い。その一方で、テナント側からは施設のブランドや、特にスーパーが飲料などの販売で競合することを意識して百均の誘致に否定的なケースも多いのだという。しかし、セリアでは先述したように食品類を販売していない店舗が多い。このことから、商業施設に新規出店しやすいという効果が出ているという。
セリアが固守する百均の“原点”
百均の中でも、最近は100円より高い商品を販売するケースが増えてきている。ワッツでは、ここ数年で高価格帯の商品を販売開始。「原価が高いことから100円で売れない商品がある」(ワッツ担当者)として、販売する商品のラインアップを拡充するのが主な目的だ。同様にキャンドゥでも、20年7月から200〜500円の価格帯で商品を販売することを予定している。
一方のセリアは、今までもこれから当面も「100円均一」を貫くつもりでいるという。「100円の売価を崩さないのは百均にとってお客さまとの約束。値段を見なくても安心して買い物できるのがそもそものテーマ」と田中氏は話す。
データを駆使し、食品を販売しないなど、先進的な取り組みをしつつも百均の“原点”を守り続けるセリア。“安くておしゃれ”だけでなく、今後は「何を買っても1つ100円」という“安心感”も武器にし、どのような成長をしていくのだろうか。
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